編集者の読書感想文

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『教養としてのギリシャ・ローマ 名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄』(東洋経済)の読書感想文

中村聡一(著) 

2021年5月出版/1980円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/344頁/右開き/文字は縦組み/1ページ42文字×17行

柱:章タイトル:左ページ、ノンブル横

 

<出版社>

str.toyokeizai.net

 

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最近、リベラルアーツという言葉をよく聞きますね。

どういうものか、あまりよくわかっていなかったので、本書を手に取りました。

 

<目次>

 

1.リベラルアーツとは

 

辞書では

1.職業に直接関係のない学問、芸術のこと。ギリシア時代からの自由民にふさわしい学問・芸術という意味に由来している。

2.専門に分かれる前の一般教養。大学の教養課程。

 

本書では

古代ギリシャ学問の領域は、自然学、天文学、修辞学、倫理学、数学、幾何学、哲学、建築や造船、芸術の分野など多岐にわたります。「ヘレニズム」と呼ばれるこれらがリベラルアーツの起源であり、その古典学問を再発見することで起こった一大ムーブメントが、いわゆる「ルネサンス(文芸復興)」です。(中略)

その旗振り役が大学であり、結果としてヨーロッパは暗黒時代を脱し、現在のグローバル世界の中核に位置する価値体系が誕生しました。つまりリベラルアーツこそ欧米の大学の出発点であり、復興の救世主だったわけです。

 

辞書と本書では、同じことを説明しているように思えませんが、要するに・・・

本書を読んでみて、

リベラルアーツとは、ヨーロッパの歴史・価値観を学ぶ」

ということかなと思います。

 

なお、本書では、リベラルアーツを学ぶ意味として

1.「先人の思考」を知る

2.「学ぶ」ことの価値を知る

3.「自由・自立の精神」を知る

4.「哲学」と「倫理学」を知る

5.「ルネサンス」の意義を知る

としています。

 

2.歴史を学ぶ意義

 

本書を読み、歴史を振り返ることは、今を生きる上で、重要なんだなと感じました。

歴史から、いろいろ学べるのは事実ですね。

 

なお、個人的には、ギリシャの歴史を、歴史という学問としてとらえられたのは、良かったなと思いました(神話のイメージが強かったので)。

 

3.日本のリベラルアーツ

 

日本でも、リベラルアーツを取り入れている大学も増えているようです。

しかし、カリキュラムなどを見ても、いまいち、よくわかりません。

 

以前読んだ『テルマエ・ロマエ』を描いたヤマザキマリさんのエッセイに、日本は、明治になってから、急に西洋文化が入ってきたので、民主主義など、本質を理解できていないのではないかという記述をみました。

 

リベラルアーツも、その一つかもしれませんね。

 

4.興味深かったこと

 

ギリシャやローマの衰退は、政治家のトップの質も要因だったようです。

 

また、混乱期に、ソクラテスプラトンアリストテレスが現れ、今に通ずる知恵が生まれたのは、大変興味深かったです。

特にアリストテレスが、貧富の差は世を不安定にさせるので、中間層の重要性を説いていたことには、驚きました。

 

5.本の企画として

 

わかっていない言葉を深掘りできて良かったです。

こういう切り口も、企画として、アリですね。