編集者の読書感想文

書籍編集者の読書感想文です。良書を出版するために、ベストセラーのヒントをつかむために、書籍を読み漁っています。編集者としての気づきや気に入ったトピックなどをシェアします。たまに、話題がずれますが。

『日本電産永守重信社長からのファクス42枚』(プレジデント社)の読書感想文

川勝宣昭(著) 

2016年11月出版/1760円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/216頁/左開き/文字は横組み/1ページ26文字×23行

柱:章タイトル:右ページ、ノンブル横

 

<出版社>

presidentstore.jp

 

Amazon

 

本棚にさしてありましたが、タイトル文字がキラキラと輝き、目に飛び込んできました。

その文字は「日本電産 永守重信」。

日本を代表するカリスマ経営者の一人ですね。

投資をしていると、「日本電産」の名をよく聞きます。

不況でも強い会社という印象があります。

中を見ると、読みやすそうな構成でしたので、手にとりました。

 

<目次>

 

1.本書の構成 

42枚の永守社長の熱いメッセージをベースに展開され、その経営手腕を垣間見た気がしました。

本当に、熱血な経営者なんですね。

不況に強い理由もわかったような気がします。

 

2.日本電産日産自動車

著者は、日本電産で働いたことのある経営コンサルトです。

日本電産の前は、日産自動車で働いておられ、その比較もおもしろかったです。

 

その比較で大変興味深かったのは、FAX27枚目の

「営業が機関車になって引っ張り、工場・開発は営業を支援する。そういう会社づくりをやれ」です。

 

日産自動車は、開発・製造は1軍の部隊、営業は2軍の部隊だそうです。

なので、開発・製造部門は

俺たちがつくったものを、営業は売ってくればいいんだ

という感覚があるそうです。

 

これは、出版社でもありがちな構図だなと思いました。

 

一方、日本電産は、営業が1軍で、開発・製造が2軍だそうです。

営業が、単に製造を従って後ろをついていくのではなく、逆に、機関車として生産を引っ張る

という立場で、 これは、

マーケットイン型の企業文化。外の世界、顧客と最も接している営業の存在を重視

しているそうです。

 

この比較を見ていると、日産自動車は今までの日本の会社で、日本電産は今、海外で勢いのある会社のように感じました。

 

3.気に入ったメッセージ

最近、コロナ禍で、会社がギクシャクする時があります。

 

FAX37枚目「『マンネリ、油断、驕り、妥協、怠慢、諦め』が会社をおかしくする」は、ハッとさせられ、いろいろと考えさせられました。

 

コロナだからと諦めている雰囲気がありますが、これで、全てを片づけてしまってはいけないなと痛感しました。

 

また、会社を変えるのは、意識改革だと、本書でうたっています。

 

FAX4枚目の「能力差5倍、意識差100倍」

FAX5枚目の「意識改革を徹底せよ。それが企業カルチャーになるまで」

FAX22枚目の「2割の社員の支持があれば、改革は成功する」

FAX35枚目の「経営者とその社員の士気の高さこそが、企業にとって最大の財産。不安なときこそ、それを思い出したほうがいい」

は、大変参考になりました。

 

なお、本書では、社員を

問題意識が高く、リーダーの改革に積極的に呼応する火ダネ社員

大勢が変わればそちらに引っ張られるが、普段は動かない様子見社員

改革を常に冷ややかな目で見ているシラケ社員ないし抵抗勢力

と分類しています。

火ダネ社員をもっと燃えさせ、様子見社員も燃えさせると、改革ができるそうです。

 

4.絶妙な方程式

FAX23枚目「訪問件数を月100円にせよ」で、下記のような方程式が載っていました。

売上高=訪問件数×受注率(受注件数/訪問件数)×受注単価(売上高/受注件数)

訪問件数を上げれば、売り上げも上がるという考えです。

 

この方程式は、出版でも応用できますね。 

 

「売上高=出版点数×購読率(購読冊数/出版点数)×売上単価(売上高/購読冊数)」

 

よく出版社では、出版点数を多く出すよう言われ、ノルマもあったりします。

この方程式でいう訪問件数を上げることと、一緒なのかなと思いました。

 

そして、売上高が頭打ちで、今の人員で出版点数をこれ以上増やせない場合は、売上単価を上げるという選択肢も出てきます。

 

最近、鈍器本など、ボリュームのある書籍で、定価の高い書籍が出てくるようになりました。

このようにこれからは、売上単価を上げる良書を作ることにも目を向けたほうがいいのかなと感じました。

 

5.表紙

冒頭でもお伝えしたとおり、タイトルのキラキラ文字が効果的ですね。

ひきのある言葉には、このようなキラキラのインクを使っても良いかなと思いました。