編集者の読書感想文

書籍編集者の読書感想文です。良書を出版するために、ベストセラーのヒントをつかむために、書籍を読み漁っています。編集者としての気づきや気に入ったトピックなどをシェアします。たまに、話題がずれますが。

『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』(ダイヤモンド社)の読書感想文

古賀 史健(著)

2021年4月出版/3300円(税込み)/A5判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/480頁/右開き/文字は縦組み/1ページ43文字×16行/

柱:部タイトル、左ページ、小口部分/章タイトル、右ページ、ノンブル横

 

<出版社>

www.diamond.co.jp

 

Amazon

 

仕事柄、タイトルに惹かれて、手にとりました。

文章を書くことがある人、また、いつか本を出版したい方は、一読されると良いと思います。

480ページの大作ですが、読みやすく、あっという間に読み終わりました。

 

<目次>

 

1.著者は?

本書の著者は、『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を執筆された方です。

ベストセラーのライターさんですね。

本書で、ライター業の分析がされています。

そして、熱意が伝わってきました。

この熱意が、ベストセラーを生み出すのかなと感じました。

 

2.よかったところは?

 

編集者としての立ち位置を示している

著者も述べていますが、最近、編集者とライターの境界線は、あいまいになっていると感じます。

 

特に今、私は専門書の書籍を編集していますので、著者全員が執筆に慣れているわけではありません。

そのため、編集者側でリライトをすることも、ままあります。

 

そのような中、本書で、編集者としての立ち位置を示してくれたのは、なんだか少しホッとしたと同時に、力をもらいました。

 

著者の言う「編集者の立ち位置」とは、下記のとおりです。

 

原稿を編集するのは、あくまでもライターだ。そして、編集者は、原稿の外側にあるものを、つまりコンテンツの「パッケージ」を編集する人間である。(中略)「誰が(人)」「なにを(テーマ)」「どう語るか(スタイル)」のパッケージを設計していくのが、編集者のもっとも大切な仕事なのである。

 

誰に書いてほしいのか。誰に飽き飽きしていて、誰の新作を読みたがっているのか。このテーマにいちばん適した書き手は誰か。どの人であれば、自分のめざすコンテンツをかたちにしてくれるのか。これは、編集者だけに与えられた贅沢な悩みである。

 

ぼくは編集者に、「プロの読者」であってほしいと考えている。

 

実際に書くことをしない編集者はロマンチストであり、それを書くライターはリアリストであるべきだ。

 

仕事中、道に迷ったときは、この言葉に戻ってこようと思います。

 

使える「型」を示している

個人的に「これは、使える!」という型が載っていました。

 

A.取材について 

返すことばの冒頭に「つまり」を置いてみる。(中略)愚痴に共感してみせるでもなく、意見したり、説教したりするでもなく、純粋に相手の思いを訊き出す質問が浮かんでくるはずだ。

 

相手の言葉をうまく引き出すのに、「つまり」でつないでいくのは良いですね。

取材をする機会も多いので、今度、やってみようと思います。

 

B.企画について

「コンテンツの基本構造」として、次のことが紹介されていました。

 

編集者

→パッケージ〔誰が(人)、なにを(テーマ)、どう語るか(スタイル)〕をつくる

 

ライター

→内容(情報の希少性、課題の鏡面性、構造の頑強性)をつくる

 

そして、このパッケージと内容のおもしろさが重なって、コンテンツはその価値を最大化する、とのこと。 

 

企画を立てる際、心に留めておこうと思います。

 

C.執筆について

気を付けるポイントは次の3つである。

①句読点の打ち方

②改行のタイミング

③漢字とひらがな・カタカナのバランス

 

本書は、大変読みやすいです。

読みやすさを出すために、この3つを吟味されているんだなと感じました。 

句読点の入れ方や、漢字をひらがなにするところなど、読んでいて心地よかったです。

 

D.推敲について 

自分の原稿を読み返すとき、大切なのは距離の置き方である。(中略)距離の作り方にはおそらく、「時間的な距離」と「物理的な距離」、そして「精神的な距離」の3つある。

 

「物理的な距離」は、早速実践してみようと思いました。

 

物理的な距離とは、「横書き」の「明朝体」で書いている原稿を、読み返すとき、「縦書き」の「ゴシック体」に変換して、校正等をすること。

見た目が変わり、今まで見えてこなかったミスが見えてくるそうです。

 

ベストセラーの極意を教えている

コンテンツの普遍性を考えるとき、見るべきは「未来」ではなく「過去」である。しかも去年や一昨年の過去ではなく、10年、50年、100年レベルでの過去だ。

 

今、売れることを考え、タイムリーなネタに飛びつくことも多かったのです。

そのときは売れますが、継続的に売れるには、こういう視点ですね。

 

3.本を出版したい人は必読!

 

最近、コロナ禍で自分時間が増えたためか、持込企画が以前より増えたように思います。

 

本書の内容は、納得する点も多かったです。

そのため、「いつか本を出したい」「持込企画を考えている」など考えている方は、編集者側の視点も垣間見えますので、参考になると思います。

企画がとおりやすくなるかもしれません!? 

 

4.最後に、本づくりに活かせそうな点

 

2.5cmの太さの書籍です。

本を開けたら、勝手に閉じてきてしまいそうです。

しかし、本書はしっかり開きます。

 

きっと、しっかり開くのに耐えられる糊付けがされているのだろうなと思います。

 

ページ開きまで配慮された製本。

私も、ここまで気を配っていきたいなと思いました。