『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)の読書感想文
ひきた よしあき(著)
2019年4月出版/1650円(税込み)/四六判/2色刷り/表紙カバーあり/
本文14Q/208頁/右開き/文字は縦組み/1ページ38文字×15行/
柱:章(Day)タイトルだけ、左ページノンブル横
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本-ひきたよしあき -大和出版
<Amazon>
気に入って、何回か読み返しています。
そもそも本書は、タイトルに惹かれて、手にとりました。
「博報堂」「5日間」という言葉が効いていますね。
また立ち読みしますと、デザインも凝っています。
じっくり読みたくなりましたので、購入しました。
<目次>
1.企画・内容
構成も、凝っています。
ある会社の広報部の新人(山崎 大)が、広告会社に勤めながら、大学でも教えている先生に、いろいろ相談していくといった、根幹となるストーリーがあります。
基本は「新人からの質問に対して、先生が答える」メールのやりとりになっていて、
Day1 頭にあるものを知る
Day2 考える習慣をつける
Day3 論理的に発想する力をつける
Day4 真に伝わる表現力を磨く
Day5 言葉に説得力を持たせる
と、話が広がっています。
よくQ&Aを切り口にした書籍を見かけますが、本書は、質問に「question」、答えに「method」を頭につけています。
単純に、Q&Aとしていないのも凝っていますね。
また、Q&Aが続く中、途中に「著者の解説」がいくつか入っています。
ストーリー仕立てなので、ぼやけそうな大事なことを、著者の言葉で、しっかりとまとめてくれているページです。
こういうページがあると、あとで振り返りやすいですね。
読後、Day1~5をそのまま実践していくと、良い宣伝文が書けそうな気がしました。
特に、著者が博報堂で働いているとのことで、より説得力が増します。
なお、広報としての文章作成はもちろん、私は、企画を立てる際に、本書の内容は活かせそうだと感じました。
例えば、
「〇〇という考え方」は、「言葉の戦略化」と名づけていた。(中略)どんどん新しい仮説を立てていくイメージだね。(中略)こうすると、狙いがハッキリしてくる。
狙いとは、「切り口」ということだ。「コンセプト」の意味だ。
「〇〇という考え方」を口グセにするだけで、戦略脳が作れるんだ。
“トヨタ生産方式”の生みの親である元副社長の大野耐一さんが考案した「5つのWHY」(中略)「なぜ?」に的確に答えるためには、大くん自身が何度も「なぜ?」と問う必要がある。それも5回問い続けるんだよ。(中略)5つのWHYで核心に迫れば、言い逃れできない答えが見つかる
ドイツの哲学者ヘーゲルの「弁証法」という考え方(中略)「意見」と「反対意見」を調整して、三角形の頂点に「高い次元の意見」を作る。(中略)高い次元の意見を考えることが、弁証法的なものの考え方なんだ。
こういう思考も、仕事に活かしていきたいと思いました。
2.デザイン・組版・印刷・製本
黄色と黒色の2色刷りです。黄色は、華やかで若々しい感じが出ますね。
本書は、広告部の新人が主人公ですので、この色の選択は良いなと思いました。
また見返しの紙も、黄色できれいです。しかも、少し透け感があります。
何という紙なんだろう? 使ってみたい紙でした。
あと、本文の文字の書体も、ストーリー部分と著者の解説部分は、異なった書体を使っており、読んでいる最中、どの部分を読んでいるか迷わなくてよかったです。
なお、書体は、おそらく、ストーリー部分は明朝、著者の解説部分はUDゴシックかと思います。
3.まとめ
・その道のプロの話は、説得力がある。
・Q&Aの切り口も、アレンジすれば楽しい構成になる。
・コンセプトが違うなら、本文の書体を変えると良い。