編集者の読書感想文

書籍編集者の読書感想文です。良書を出版するために、ベストセラーのヒントをつかむために、書籍を読み漁っています。編集者としての気づきや気に入ったトピックなどをシェアします。たまに、話題がずれますが。

『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SB Creative)の読書感想文

アンドリュー・O・スミス(著)、桜田 直美(訳)

2019年11月出版/1650円(税込み)/四六判/2色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/376頁/右開き/文字は縦組み/1ページ40文字×16行/

柱:章タイトルだけ、左ページ、天側

 

<出版社>

www.sbcr.jp

 

Amazon

 

「人気本」と耳にしましたので手に取りました。オリエンタルラジオ中田敦彦さんもYoutubeで紹介されていたようですね。

 

また、帯には、作家の橘玲さんのお名前も。Amazonのコメントを見ていると、橘さんの名前で購入した人もいるようです。推薦者は、やはり重要ですね。

 

<目次>

 

1.企画・内容

お金に関することを、かなりかみ砕いてわかりやすく伝えています。

 

社会に出てだいぶ経つ私ですが、長年かけてわかったことが、簡潔にまとめられていました。社会に出る前に読みたかったなという印象です。

 

構成は、

 

第1章 お金の計画の基本

第2章 お金とキャリア設計の基本

第3章 就職、転職、起業の基本

第4章 貯金と銀行の基本

第5章 予算と支出の基本

第6章 信用と借金の基本

第7章 破産の基本

第8章 投資の基本

第9章 金融詐欺の基本

第10章 保険の基本

第11章 税金の基本

第12章 社会福祉の基本

第13章 法律と契約の基本

第14章 老後資産の基本

付録 この本で学んだ大切なこと

 

で、個人的には、「第14章 老後資産の基本」は勉強になりました。

早めの準備が必要なんですね。また、「信託」というものも理解できました。

 

総じて、用語解説はわかりやすく秀逸です。また、著者のアドバイスもあり、響くものも多かったです。

 

例えば(個人的な備忘録ですが……)、

貯金ができる人は、目の前に欲しいものがあっても、将来の大きな目標を達成するまでにぐっとがまんする。

 

デリバティブは高度に洗練された投資方法であり、ときには開発者さえ完全に理解できないこともある。…(中略)…。規制が追いついていない状態だ。何十年ものキャリアがあるプロの投資家でなければ、デリバティブには手を出さないほうがいいだろう。

 

リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら、自宅を担保にお金を借り、毎月の収入という形で受け取るシステムだ。しかし残念ながら、リバースモーゲージには詐欺まがいの商法や不正が多発している。もし身近にリバースモーゲージを考えている人がいたら、よく注意するようにアドバイスしてあげよう。

 

本書は翻訳本ですが、日本の実情を補足し書いているところもあります。

読みはじめたときは、アメリカの話と割り切っていましたが、読み終わったときは、日本に住む私でも役立つ情報が多かったなという印象です。

 

最後に、「付録 この本で学んだ大切なこと」は、

・絶対に覚えておきたいお金のヒント10

・最初の仕事のヒント

・大学生活のヒント

・新社会人のためのヒント

が載っており、心に響きました。社会人1年目の初心を思い起こすために、この部分だけでも、読み返しても良いかもしれません。

 

2.デザイン・組版

本書は2色刷りで、えんじ色と黒色で展開されています。

意外とえんじ色って、かわいい感じになるのですね。少し避けていた色でしたが、今後使ってみたいと思います。

 

また、挿画は、ヤギワタルさんでした。

このブログを始める前に読んだ『1万人超を救ったメンタル産業医の 職場の「しんどい」がスーッと消え去る大全』『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(ともに大和出版)の挿画も、このイラストレーターさんでした。

ここ1年で読んだ本の挿画で、3冊もこのイラストレーターさんとは!? 少し気になってきました。

 

なお、出版社の書籍紹介やAmazonの「出版社より」では、この挿画をつなぎあわせて、内容を表現されています。このような手法も良いですね。

私は、よく紙面の何ページか掲載して、あれこれ文章を書いていましたが、挿画のつなぎあわせは、印象に残りますね。

 

最後に、参考文献の入れ方も参考になりました。

翻訳本なので、参考文献は洋書などが中心です。横書きが自然な入れ方ですが、本書は縦書きです。

このような場合、ノンブル横に、参考文献を入れるとスッキリしますね。

 

3.まとめ

・推薦者の影響は大きい。

・翻訳本も、日本で役立つ内容なら日本の情報も少し加えつつ、作ると良い。

・えんじ色は、かわいい。

・書籍紹介で、挿画をつなげて紹介する手法は良い。