編集者の読書感想文

書籍編集者の読書感想文です。良書を出版するために、ベストセラーのヒントをつかむために、書籍を読み漁っています。編集者としての気づきや気に入ったトピックなどをシェアします。たまに、話題がずれますが。

『人は聞き方が9割』(すばる舎)の読書感想文

永松茂久(著)、2022年12月出版/1540円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/240頁/右開き/文字は縦組み/1ページ37文字×13行

柱:章タイトル:左ページノンブル横

 

<出版社>

www.subarusya.jp

 

Amazon

 

『人は話し方が9割』がベストセラーと聞き、書店に行きますと…。

姉妹書として、本書がありました。

仕事柄、聞く方が重要かと思い、先に、こちらを読むことにしました。

 

<目次>

 

1.受け身でいいのだ

人と会ったら「沈黙はダメだ」と、一生懸命話す人も多いでしょう。

私もその一人。

会話の後、気疲れをしたり、思い悩んだりすることも多かったです。

 

本書では、そんな悩みを吹き飛ばしてくれます。

そう、受け身=聞き手になれば良いとのこと。

また、聞き上手は、世の中になかなかいないそうで、かなり貴重な存在なんだそうです。

そして、意外にも、話の主導権を握っているのは、実は聞き手だと言います。

 

聞き手にまわるメリットとして

・語彙力が少なくてすむ

・聞くことは読書と同じ

・人の感情が読めるようになる

・相手を不快にさせるリスクが減る

・聞くことで自分の盲点が見えてくる

・沈黙をおそれなくてすむ

・勝手に人の評価が上がる

と伝えています。

良いことばかりですね。

 

最後に、私に突き刺さった言葉はコチラ。

柔道や茶道、合気道…。

日本には「道」がつく学びごとが数多くあります。

そして、そのほとんどの「道」の始まりは、まず「受け身」から始まる、という特性を持っています。

妙に納得しました。

 

2.オンラインこそ聞き方が9割!?

コロナ禍で、オンライン会議が増えました。

本書には、嫌われない聞き方が載っていましたが、オンライン会議こそ気を付けたいなと思いました。

 

なお、嫌われない聞き方はコチラ。

違う意見の人を否定しない

自分の常識を押しつけない

話す相手と競わない

結論を焦らない

答えや解決策をはじめから言わない

さえぎらない、話を変えない

心を折るツッコミはしない

干渉しすぎない

「ここだけの話」は絶対、人に言わない

 

3.デザイン備忘録

1ページの文字量も少なく、余白の多い紙面です。

でも、それが気持ちに余裕を持たせてくれているようで、良かったです。

 

また、ところどころに1ページのまとめイラストがあります。

大事なことがしっかり伝わり、見返したときも、すぐに目に止まるので良いですね。

 

<メモ書き>

ブックデザイン:tobufune

DTP: システムタンク

イラスト:久保久男

図版:朝日メディアインターナショナル

 

誰かに言いたくなる!?『すばらしい人体』(ダイヤモンド社)の読書感想文

山本健人(著)

2021年8月出版/1870円(税込み)/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/376頁/右開き/文字は縦組み/1ページ41文字×16行

柱:章タイトル:左ページ上

 

<出版社>

www.diamond.co.jp

 

Amazon

 

よく売れていると聞き、手に取りました。

 

久しぶりに、知的好奇心をくすぐられる良書に出合った気分です。

内容は、誰かに話したくなるような話ばかりでした。

NHKの『チコちゃんに叱られる』の番組のように、知らなかったと唸る話ばかりでしたよ!)

すごく、すごーく勉強になりました。

 

<目次>

 

1.本書の構成

著者は、現役バリバリの外科医の先生です。

また、本文の最後に提示している参考文献の量も多いです。

著者の経験に加え、しっかりと裏付けのある骨太の書籍に仕上がっていますね。

 

内容は

第1章 人体はよくできている

第2章 人はなぜ病気になるのか?

第3章 大発見の医学史

第4章 あなたの知らない健康の常識

第5章 教養としての現代医療

読書案内

参考文献(8ページも)

と、展開しています。

 

2.ヘルスリテラシーの一助になる

最近、「ヘルスリテラシー」という言葉をよく聞きます。

また、コロナ禍で「ヘルスリテラシー」の重要性が高まってきているように思います。

 

なお、ヘルスリテラシーとは

一般に健康に関連する情報を探し出し、理解して、意思決定に活用し、適切な健康行動につなげる能力のことをいいます(日本ヘルスリテラシー学会のHPより)

 

本書では、

体温や血液型、便が茶色い理由など身近な話、

がんやアレルギー、糖尿病などの疾病の話、

全身麻酔やパルスオキシメーターなどの少し突っ込んだ医療の話

など、幅広い内容です。

 

特に、第3章の医学史は、感動すら覚えました。

いろいろな方の発見や研究の上で、今があるのだなと痛感します。

 

本書をきっかけに、自分自身のヘルスリテラシーを高めていきたいなと思いました。

 

3.デザインのココがステキ

まずは、用紙。

扉が、透け感のある用紙でした。ステキですね。

一度、使ってみたいです。

 

次に、イラスト。

古い医学書に出てきそうなタッチで、本書にぴったりだなと感じました。

装画・本文イラストは、竹田嘉文氏とのこと。

http://www.takedayoshifumi.com/

 

最後に、読書案内と参考文献。

この部分だけ、紙面の色が異なっていました。

アクセントになって良いですね。

 

在宅勤務を極めた!?『在宅HACKS!』(東洋経済新報社)の読書感想文

小山 龍介(著) 

2020年6月出版/1650円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/230頁/右開き/文字は縦組み/1ページ40文字×15行

柱:章タイトル:左ページノンブル横、節タイトル:右ページノンブル横

 

<出版社>

str.toyokeizai.net

 

Amazon

 

在宅勤務を始めて、1年以上が経ちました。

「何が正解なんだろう」「他の人はどうやっているのだろう」

そんな疑問から、本書を手に取りました。

 

<目次>

 

1.本書の構成

著者はコロナになる以前から、在宅勤務をされている方です。

その著者の実体験をもとに、話は展開します。

 

目次は、

第1章 環境整備ハック 

第2章 行動管理ハック 

第3章 コミュニケーションハック 

第4章 情報整理ハック 

第5章 メンタル&ヘルスハック 

第6章 副業ハック 

で、それぞれの章に、様々なお得情報(合計89項目)が載っています。

 

2.価値観の変化を痛感

便利なアプリやグッズの紹介があり、参考になりました。

ただ、1年以上も在宅勤務をしていますと、「知っている」「もうやっている」ということも、ちらほら。

そのため、読後、結構、自分も在宅勤務を極めてきているのかなと思いました。

 

さて、読んでいると、在宅勤務前後の自分の価値観が大きく変わっているなと痛感しました。

 

在宅勤務は、会社からの距離を取るだけでなく、実は自分の専門分野、普段の業務からも適切な距離を取るいい機会になります。

 

さまざまな領域を広く浅く知っているという、いわば教養が必要となる時代になってきた。

 

在宅勤務は、会社という居場所を失う働き方です。しかしそのことによって、世界という大きな居場所を獲得する機会を与えてくれる働き方でもあるのです。

 

本書にもあるように、在宅勤務により、会社への帰属意識は薄れ、その代わりに、業界や社会に意識が向かうようになってきている気もします。

私の中の変化を、文字で提示してもらったようで、良かったです。

 

お得感あり!?『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)の読書感想文

藤吉 豊、小川 真理子(著) 

2021年11月出版/1650円/四六判/2色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/224頁/左開き/文字は横組み/1ページ29文字×26行

柱:Partタイトル:右ページの右上

 

<出版社>

www.nikkeibp.co.jp

 

Amazon

 

前作の『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』が良かったので、続きの本書を手にとりました。

 

<前作の読書感想文はコチラ>

editorbookreview.hatenablog.com

 

本書も、前作と同様、良い書籍でした。

では、今回は、本書に感じたお得感を紹介します。

 

<目次>

 

1.お得感1:100冊に触れた気になれる

本書は、編集者である著者2人が、話し方に関するベストセラーの書籍を100冊読み込み、そして頻出の内容や言葉を洗い出し、ランキング形式で紹介しています。

 

引用されている言葉に、読んだ本もちらほらあり、うれしくなりました。

また、知らない本との出合いも、うれしいですね。

それに読後、私も100冊の書籍に触れた気分になりました。

 

2.お得感2:実践的な内容

「『話し方のベストセラー100冊』のポイントを場面別に活かしてみた」という付録が最後についています。

 

ここでは、本書で紹介してきたポイントを実社会に落とし込んでいます。

例えば、

・初対面や付き合いの浅い人と会って話す、雑談する

・1対1で説得する、交渉する

・複数の人に対してプレゼンやスピーチをする

といったテーマで、どのポイントが使えるか指し示しています。

読後、これは使えるなと感じました。

 

特に、私が気に入ったのは「オンライン・電話で話す」の項目。

最近、テレワークで、ほぼオンラインで仕事をしています。

慣れないうちは、いろいろな失敗もありました。

また、今もどれが正解なのか、よくわからないままです。

 

本書では「オンライン・電話で話す」ポイントとして、以下が挙がっていました。

・話し方にメリハリをつける

・相手の目を見る

・話しは「短い」ほうがいい

・相手の話をさえぎらない

・電話は「笑顔」で応対する

 

たしかに、相手の話とかぶることがあるな・・・。

このポイントを意識して気をつけていこうと思いました。

 

3.編集者が本を出すなら

編集者としてよく感じるのが、著者の特色が出ていると本は売れる、ということです。

そのため、私は著者の特色を引き出すことに力を注いでいます。

 

今回、本書より、編集者の特色に気がつきました。

また、編集者が本を出版するとなら、こういう切り口・企画だと編集者の特色が出ますね。

勉強になりました。

読むタイミングを間違えた!?『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)の読書感想文

有川真由美(著) 

2020年9月出版/1430円/四六判/2色刷り/表紙カバーあり/

本文16Q/208頁/右開き/文字は縦組み/1ページ40文字×14行

柱:章タイトル:左ページ、ノンブル横

 

<出版社>

www.php.co.jp

 

Amazon

 

少し前に購入し、積読。時間ができたので読んでみました。

購入した時は、タイトルに惹かれて手にとりました。

 

でも、コロナ禍で私の価値観が変わったのかな?

今の私には、あまり響きませんでした。

 

<目次>

 

1.本書の内容

穏やかな人には、話しやすい

目が合うと、話しやすい

「事柄」より「感情」を示す言葉を返す

なんでもいいから「ほめる」

「なんだか怖そうな人」にならない

など、具体的なコミュニケーションのアドバイスが載っています。

 

どれもわかりやすい言葉で書かれていますので、読みやすいです。

でも、なぜか私の中に入ってこない・・・。

 

2.コロナ禍で読む本ではなかった!?

なんでだろうと、いろいろ思いめぐらすと・・・。

最近の私は、テレワーク中です。

そのため、人と会う機会が減った分、断捨離や掃除などに励んでいます。

 

あまりコミュニケーションをとっていないこと、

そのため、差し迫った悩みもなかったこと、

いろいろ身辺整理していること、

これらが原因で響かなかったのかなと思われます。

 

本書は、コミュニケーションのコツがたくさん載っていますが・・・。

本は読むタイミングも重要なんだな、と痛感した一冊になりました。

 

3.参考となったデザイン

真似したいなと思うデザインがあったので、備忘録です。

 

章の扉が水玉模様で、本書の小口からその水玉模様が見えます。

それがアクセントとなり、章の区切りとなり、検索しやすいと感じました。

 

水玉模様の扉、どこかで使ってみたいなと思う今日この頃です。

 

『文系AI人材になる: 統計・プログラム知識は不要』(東洋経済新報社)の読書感想文

野口竜司(著) 

2019年12月出版/1760円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/344頁/右開き/文字は縦組み/1ページ42文字×16行

柱:章タイトル:左ページ、ノンブル上

 

<出版社>

str.toyokeizai.net

 

Amazon

 

帯に「AIはExcelくらい誰もが使うツールへ」というフレーズが載っていました。

「本当に!?」ということで引きつけられて、手にとりました。

 

<目次>

 

1.AIにビビっていた私

私は典型的な文系人間です。

しかし最近「この仕事はAIに取って代わられます」など、聞くことも増えてきました。

友人の中にはAIに事務作業を教えている人もおり、ひたひたと近づいてくるAIに少し不安を覚える日々でした。

 

2.読んだら、気が楽になった

本書では、作る側が理系、使う側が文系という観点で、話が進んでいます。

たしかに様々な家電でも、使い方は知っていますが、その作り方は知りません。

AIもこれと同じなんだと気づき、大変気が楽になりました。

 

また、文系の人は使う側として、どこにAIを導入したらより良くなるのか、企画すべきだと言っています。

そのため本書では、企画するために最低限必要なAIの知識を伝えています。

しかも専門用語を使わず、AIの仕組みやAIでどういうことができるのかを教えてくれるので、読みやすかったです。

 

そして、具体的な導入事例がたくさん載っていました。

それもあり、企画する立場のイメージがだんだんつかめてきました。

 

文系の私でも、AIと過ごしていけそうな気がした一冊です。

 

3.参考になった本書のデザイン

さて、最近、ブログで載せていなかったのですが、本書のデザインについてです。

勉強になったことを書き記します。

 

まずは、ノンブルの配置。

ノンブルが縦に配置されており、目を引きました。

f:id:editorbookreview:20220121210018j:plain

縦書きのノンブル

そして、その上に章タイトルが掲載され、セットで読めるようになっています。

これは良いアイデアだなと感じました。

ツメなどがないのに、検索しやすそうな感じが出ています。

 

次に、章の扉。

よくあるのが、左ページに1ページで作る形。

そのため、章が左ページで終わったときは、次のページは余白になります。

いつも、これがもったいないと思っていましたが、本書ではその余白も扉のデザインに組み込んでいました。

各章で1ページ扉だったり2ページ扉だったりしますが、意外と違和感がなかったです。

 

4.参考になった企画の切り口

大きな変化や大きな不安を解決するために、平たく伝える切り口は需要があるのだなと痛感しました。

今後の本づくりに活かしていきたいです。

 

『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』(日経BP)の読書感想文

森岡毅(著) 

2020年12月出版/1870円/四六判/1色刷り/表紙カバーあり/

本文14Q/300頁/右開き/文字は縦組み/1ページ41文字×16行

柱:章タイトル:左ページ上側

 

<出版社>

www.nikkeibp.co.jp

 

Amazon

 

著者は、USJを再建させたマーケターの森岡毅氏です。

以前、著者の今回と異なる書籍を読みましたが、大きな成果を残した方の言葉は、いろいろ考えさせられました。

こちらも人気の書と聞き、手に取りました。

 

<目次>

 

リーダーシップは後天的なもの!?

本書は、リーダーシップの身につけ方が載っています。

驚いたことに、著者は社交的ではないそうです。

社交的でなくても、リーダーシップは発揮できるとのこと。

これは興味がわきますね。

 

本書には、

リーダーシップは生まれつきの特徴で決まっているのではなく、本人が意識して経験することで後天的に育つもの

とあります。

 

リーダーシップの定義

自分のやりたいことを実現していくために、周囲の人をまとめて動かす能力、つまりリーダーシップを必要としているのです

 

リーダーシップの強弱は才能よりも、その土台となっている欲の強さで決まっています

 

リーダーシップはやりたいことを実現させるために必要な力で、その力は欲の強さと関係しているそうです。

これは、新たな視点でした。

 

人を動かすこと

どうしても実現したいと本気で思える目的が明確であること、これこそが「人を動かす力」の根源です

 

やはり人を動かすのは「情熱」なんですね。

 

また、本書には、以下の3つの欲が重なった部分を狙うと、人は動くそうです。

 

・人が欲するか(巻き込みたい人々にとって魅力的なこと)

・人を欲するか(集団としての能力を必要としていること)

・己が欲するか(あなた自身が本気になれること)

 

少し意識してみたいと思います。

 

思い切って動いてみる

重傷を負うのは自分自身の全てをかけた大戦で討死することですが、そういう経験が実は最も多くの経験値をくれることを理解していれば、いずれ傷口が塞がってもっと強くなって再び歩き出すことができるようになります

 

消極的でなく、思い切って動くことが肝心ですね。

 

本づくりの参考に

前半は、著者の経験をもとに、理論的に話が進みます。

そして後半では、著者がどのようにリーダーシップを身につけたのか、実体験をもとに話が進みます。

 

理論が来て、実体験を交えての具体例が来る流れは、理解が進みますね。

また、その具体例が、若い頃にありがちな、とがっていた頃の話もあり、共感が得られます。

 

大きな成果を成し遂げた方の思考回路を学ぶのは、大変勉強になりますね。

このように成果を出した方の思考回路を掲載する企画はおもしろいなと思いました。